社会人として一定の経験を積んだ後に、改めて薬剤師という専門職を目指す人が増えています。人生100年時代といわれる今、働き方や価値観の多様化にともない、「学び直し」という選択が新たなキャリアを切り開く手段として注目されています。医療や健康への関心、自分や家族の経験を通じた気づきなど、理由はさまざまですが、専門職としての再スタートを切るためには、制度面や準備すべきことを知っておくことが大切です。この記事では、社会人が目指すうえでの進路選択や実際の学び方について、3つの視点から解説します。
薬剤師を目指すには、まず6年制の薬学部に進学することが必要です。最近では社会人経験者向けの入試制度を設けている大学もあり、年齢に関係なく再進学が可能な環境が少しずつ整ってきています。
働きながら通える夜間・通信制の薬学部は現時点では存在しないため、フルタイムでの通学が基本になりますが、奨学金制度や履修相談など支援体制が整った大学を選ぶことで学びやすさが大きく変わります。
事前にカリキュラムや生活設計を十分に確認しておくことが重要です。実際の入試制度は大学によって異なるため、募集要項を丁寧に確認する必要があります。
6年間の薬学部通学には相応の学費と生活費がかかるため、経済面のシミュレーションも欠かせません。私立大学では総額で1000万円前後、国公立大学でも400〜500万円程度が目安となるため、事前に奨学金や教育ローンの活用、貯蓄計画を立てておくことが再進学成功のカギを握ります。
生活費との両立をどう図るか、家族の理解をどう得るかも重要な課題です。自治体によっては社会人向けの支援制度が用意されていることもあり、複数の選択肢を比較しながら自分に合った方法を選ぶことが現実的な第一歩となります。
就学支援の有無によっては、選択できる大学の範囲も大きく変わってきます。
社会人経験があるからこそ、目的意識の高い学びができるのは大きな強みです。年齢の壁や周囲との年齢差を気にするよりも、「なぜ自分は薬剤師を目指すのか」という軸を明確に持つことで、継続的なモチベーションと学習の質が保たれます。
また、計画的な時間管理や体調管理も再進学には不可欠です。定期的な振り返りや仲間との交流、教員との相談を通じて、不安や壁を乗り越える工夫をしていくことが、学業と生活を両立させるポイントとなります。
自分なりのペースで着実に前に進めることが、社会人ならではの強みとなるでしょう。