薬剤師として働く上で、年間を通じて業務の繁閑差を感じることは少なくありません。業務量や患者数の増減は季節や制度変更などさまざまな要因で変化し、職場によってもその影響度合いは異なります。あらかじめ繁忙期と閑散期の傾向を知っておくことで、気持ちや業務の準備がしやすくなり、職場でのストレスやミスの軽減にもつながります。適切な対策や働き方の工夫があれば、忙しい時期を乗り越える力になります。この記事では、薬剤師の現場における繁忙期と閑散期の特徴について、主な3つの視点から解説します。
薬局や病院では、季節性疾患や保険制度の更新タイミングによって業務量に大きな差が出ることがあります。特にインフルエンザや花粉症、風邪が流行する冬から春にかけては処方箋の発行数が増え、調剤や服薬指導の件数も一気に増加します。
また、4月の保険証切り替えや診療報酬改定の時期には、患者の問い合わせ対応や事務処理が煩雑になりがちです。こうした時期にはスタッフ全体で連携を取り、事前準備や役割分担を明確にしておくことで、スムーズな対応がしやすくなります。
年によって流行の強さや制度変更の頻度が異なるため、過去の記録を振り返って傾向を掴んでおくことも有効です。
薬剤師の勤務先によっても、忙しくなる時期や内容は大きく異なります。たとえば病院では年末年始の入退院に伴う業務増加がある一方、調剤薬局では大型連休前の駆け込み処方や、月末月初の来局集中といった傾向が見られます。
また、在宅医療に関わる現場では、週ごとの定期訪問スケジュールに左右される部分もあります。繁忙期を乗り切るためには、ルーティンの見直しや事務作業の効率化といった職場ごとの工夫も欠かせません。
スタッフ同士で業務を補い合える体制づくりや、事前のタスク共有なども円滑な運営には効果的です。
比較的落ち着いた閑散期は、日々の業務に追われがちな時期にはできなかった振り返りや学びのチャンスです。新しい薬剤の知識を深めたり、業務フローの改善に取り組んだり、スタッフ間での情報共有の場を設けたりすることで、次の繁忙期への備えを強化できます。
また、有給休暇を計画的に取得したり、業務マニュアルの整備を進めたりするのもこの時期に適した取り組みです。閑散期を前向きに捉え、自身やチームのレベルアップにつなげていく姿勢が、安定した現場運営につながります。
個人のスキル向上だけでなく、チーム全体の成長機会として活用する意識が重要です。